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TOEIC®テスト新形式問題を解説

TOEIC®満点講師 田中朝治


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2016年5月のTOEIC®テストから実施された新形式問題の概要を説明します。
新形式に慣れるまでは不安ですが、実際的な内容への変更ですので、十分準備してハイスコアを目指しましょう。
TOEIC®テストの実施機関は、今回の変更の背景や具体的な変更内容を、次のように説明しています。

変更の背景
  • 英語コミュニケーション方法の変化に対応し、よりオーセンティック(実際的)な出題形式を採用する。
  • 今または将来の英語使用環境での英語運用能力を問うテストとなるよう、近年よく利用されるようになったコミュニケーション方法をテスト問題に取り入れる。

変更の具体内容
  • テキストメッセージやチャットなどの新しいコミュニケーション形式の問題を加える。
  • 複数(3人以上)の人々が参加する会話形式を問題に加える。
  • ・視覚素材(地図、グラフ、表など)と会話(音声)の情報などの、複数の情報源から得られる情報を「紐づけする」(関連づける)能力を評価する問題を加える。

パート別の変更点は表を参照してください。
 変 更 点  影 響 対 策
Part1 ・問題数の減少(10問→6問)(内容は変更なし) ・比較的やさしい問題の減少 ・従来通り
Part2 ・問題数の減少(30問→25問)(内容は変更なし)
Part3 ・問題数の増加(30問→39問)

視覚素材と会話(音声)情報の関連づけ問題

3名による会話問題

リアルな会話表現の採用

 - 省略形(going to→gonna, want to→wanna)
 - 文の一部(Could you?などフレーズ表現)
 - 言いよどみや言い直し

・一部の会話表現の意図、暗示を問う問題
・図、表、レイアウト、クーポン、ラベルなどの視覚素材を含む「設問先読み」が難化

・会話文は短くなったが、やりとりや形態が複雑になり内容把握が難化

・生きた会話表現の理解が必要
・基本会話表現の増強

・リアルで複雑な会話文の聴き取り訓練

・やり取りの多い会話の展開を把握する訓練

・TVや映画のリアルな会話の聴き取り

・視覚素材の先読みと予測
Part4 視覚素材とトーク(音声)情報の関連づけ問題

リアルな口語表現の採用
 - 省略形(going to→gonna, want to→wanna)

 - 文の一部(主語や動詞が省略された表現)

 - 言いよどみや言い直し

・トークの一部の表現の意図、暗示を問う問題
・図、表、地図、フォーム、グラフなどの視覚素材を含む「設問先読み」が難化

・トークの流れを把握する聴解力が必要
・まとまった量のトークの展開を確認して聴く練習

視覚素材の内容を瞬時に先読みし、問題を予測する練習
Part5 ・問題数の減少(40問→30問)(内容は変更なし) ・文法と語彙の問題数が減少 ・従来通り
Part6 ・問題文書と問題数の増加(12問→16問)

・レイアウトの変更(設問と選択肢欄外に移動)

空所に入る「文」を選択する問題
・全文通読による文脈理解が必要な問題が増加 ・「速読力」の強化

・「パラグラフ・リーディング」による文脈、展開の把握
Part7 ・問題文書と問題数の増加(48問→54問)

・シングル・パッセージ問題の設問数の変化

・複数名によるテキストメッセージオンラインチャット形式文書

・文書内に、「文」を挿入する位置を選ぶ問題

トリプル・パッセージ照合問題

・チャット、テキストメッセージ中の一部の発言(表現)の意図、暗示を問う問題
・速読力、情報分析力が必要

・考えさせる問題の増加で時間不足(拾い読みでは不十分)

・チャットは「会話・口語表現」の文字化(3人以上のチャット・ディスカッションの難化)

・「意図・暗示問題」、「文の位置問題」に文脈把握が必要
・新形式の解答手順効率化

・問題パターンの予測

・スラッシュ・リーディング

・チャットを聴くように読む

スキミングによる通読

パラグラフ・リーディング

・語彙、頻出文、口語表現の増強
 

〔講師のコメント〕

[リスニング・セクション]

Part1、Par2の問題数の減少で、比較的答えやすい問題が減り、難度の高いPart3、Part4のウェイトが高くなります。したがって、全体のハードルが上がった感じは否定できません。ただ、新形式問題の割合は1割程度ともいわれていますから、初級者(600点以下)および中級者(700点前後)はあまり気にせず、従来の形式の問題の比較的やさしい問題をとりこぼさず、確実に正答数を増やすことを心がけるべきでしょう。

ただし、よりリアルな口語表現が問題文に登場することに備えて、基本的な会話表現を音で理解できるようにする訓練と、リスニングにおいても「文脈を把握する能力を測る」問題が加わるため、まとまった量の英語のやり取りやトークを聞いて話の流れが瞬時に把握できる訓練をしておく必要があります。

また、ハイスコアを目指す上級者には、「取りこぼしができない」というプレッシャーの中で、3人の会話形式の内容や展開が把握しづらくなったこと、2人の会話でもやり取りが長くなるなど複雑化していること、そして視覚素材と会話やトークの紐づけ問題では、音声情報をもとにそれに対応した視覚素材情報の中から正答を判断するという、間接的な情報検索が求められることなどから、より注意深く聴き取る必要があり、難易度が上がったと感じられるでしょう。
いずれにしても、新しい出題形式の問題を多く解き、視覚素材を含む「設問先読み」の解答手順に慣れるとともに、英会話教材やTV、映画などを通して、複数の人が参加するリアルな会話やトークを多く聴き取る練習でリスニングの「持久力」をつけることが必要でしょう。

[リーディング・セクション]

リーディング・セクションでは、今までにもまして、時間が足りないと感じるでしょう。Part5の問題数が減り、Part6とPart7の問題数が増えますから、文法と語彙力の強化という、戦略の立てやすい分野のウェイトが下がり、長文の文書を、今までより多く、かつ精緻に読むことが求められ、文書の流れや展開を把握する力が試されますので、やはり難しく感じられるでしょう。
初級者、中級者は、解きやすい問題を中心に解答し、解ける問題の取りこぼしを防ぎましょう。普段から、「独立型情報検索」問題と「文脈型問題」の見分けなど、問題集等で、どんな問題が解きやすいかを判断する訓練をしておきましょう。

Part6の空所に文を入れる問題は各文書に1問出題されますから、4文書とも全体を読み、選択肢の文も読む必要があります。そのうえで文脈を理解して解答することが求められますから、当然今までより時間がかかります。ですから絶対的に「速読力」が必要です。

さらにPart7でも、指定された「文」を適切な位置に挿入する「文の位置問題」では、確実に文脈を把握し、挿入する文の意味と文書全体の展開から解答することになりますから、文書を通読したうえで、各パラグラフの内容とパラグラフ間の関係を的確に把握する「パラグラフ・リーディング」を実践しなければなりません。従来の「情報検索型」の読み方と合わせ、問題ごとに対応することが必要です。

新しく導入されたチャット形式の問題素材は、この形式への慣れが必要です。2人による会話のようなメッセージの交換と3人以上が参加するチャット・ディスカッションがありますから、まず「テーマ」は何か、「誰が」「どんな発言」をしているかを素早く的確につかみ、全体の展開を読み取る必要があります。3人以上のチャット・ディスカッションは、登場人物の立場や発言内容を整理するのに意外と時間がかかる印象です。

最後に複数文書問題では、文書量と、最後に待っているトリプル・パッセージに圧倒されます。シングル・パッセージでは設問数も少ないものがあるので、これらを素早く終わらせて、ダブル・パッセージとトリプル・パッセージの解答に十分な時間を残す必要があります。文書数や問題数が増えた半面、1文書の英文量は少なくなっているものもあり、いかに要領よく複数の文書に目を通すかがポイントです。また3文書といっても、中には、スケジュール表や短い広告など、目を通す量が少ない文書も含まれるので、負担の少ないものから取り組むのもひとつの方法かもしれません。

[タイム・マネジメント]

とにかく適切な時間配分がハイスコアの最大のポイントです。Part7に55分は残さないと最後までたどり着けません。そのためには、Part5では1問20秒で、Part6では1文書2分以内で解答するようにしましょう。したがって迷いは禁物です。迷ったら、勇気をもって次の問題に進みましょう。

Part7では、シングル・パッセージに30分、ダブル/トリプル・パッセージに25分の時間配分を目安に最終設問までたどり着くことが大切です。複数文書問題では、一つひとつの文書はあまり長くないので、単独の文書を読んで答えられる問題を取りこぼさずに解答することが一定のスコアを確保することにつながります。ただ、時間があまりにも不足すると、頭がパニックになって、簡単な文書なのに読んでも頭に入ってこないこともありますので、時間の確保はやはり不可欠です。

リーディング・セッション攻略の対策のポイントを整理しておきましょう。

①Part5の文法、語彙問題をたくさん解いて、瞬時に解答できるようにする
②普段からPart6やPart7に頻出する文書のスタイル、表現、文例などに触れる
③頻出語彙や表現、決まり文句、典型文例など、瞬時に意味が理解できるところまで、TOIEC®英語に慣れる
④チャンク・リーディング/スラッシュ・リーディングによる速読訓練で読むスピードを上げる
⑤スキャニングやスキミングにより情報検索や文書の展開把握のスピードを上げる
⑥文書の内容の展開を的確に把握するパラグラフ・リーディングの癖をつける

不断の努力と的確な準備で、目標スコアをゲットしましょう!